今回はMCP23017 いわゆるIOエキスパンダーについての記事です。
I2C通信でGPIOの点数を増やすことができるというのは魅力的ですよね。
ただ、ネット上では、出力側として使用している記事が多いのが現状。
実際にはセンサ類と駆動部で考えたら、センサ類のほうが多く必要になりますよね??
なので今回は入力点数をIOエキスパンダーで増やす方法について書いていきます。
Youtubeチャンネルにさまざまな動画を上げています。
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そもそもIOエキスパンダにつかう、MCP23017についてですが、
こちらはMICROCHIP社の商品です。
データシートもこちらにありますので、いったんダウンロードしておきましょう。
http://ww1.microchip.com/downloads/jp/DeviceDoc/20001952C_JP.pdf
MCP23017でできること
MCP23017はIOエキスパンダーと呼ばれるだけあって、
IOの入出力点数をエキスパンダーできます。まあつまり増やせますよ。ってことです。
RaspberryPi自体そこそこの入出力点数がありますが、
本格的に何かを作ってみたい。というときに足りなくなることもあると思います。
そんな時はこのMCP23017をI2Cで接続することによってIO点数を増やすことができます。
もちろん入出力と言っていますから、入力側と出力側どちらも増やせます。
出力側つまりLEDをつなげたり小型のモーターを付けたりについては、
すでに別記事でやり方を紹介しているのでそちらをまずは御覧ください。
他にも、RaspberryPiだけでなく、RaspberryPiPicoのIO出力点数を増やす方法についても
こちらで記事にしています。
今後RaspberryPiPicoにも挑戦したい場合は一度ご覧になってみてはいかがでしょうか??
RaspberryPiはしっているけど、
RaspberryPiPicoはちょっと知らないな…という場合はこれを見れば何となく
理解できると思いますので興味がでたらぜひ。
MCP23017の使い方を読む
それではMCP23017の使い方をデータシートから読み取りましょう。
データシートはICを販売しているメーカーが出している説明書のようなものです。
説明書といっても、まったく電気的な知識がない人向けではなく
ある程度の知識があることを前提として書かれていることに注意が必要です。
ただ、今後RaspberryPiやArduinoなどを使って電気工作をしたい!
という場合にはある程度自分で読めるようになっておく必要があります。
私もはじめは使い方を調べるときはネット上の情報や本の情報を活用していましたが、
MCP23017のようなわりとコアなICについては深いところまで
解説されていなかったのでしっかりデータシートを読むところから始めました。
データシートが読めれば、なんとなくやりたいことがわかってきます。
繰り返しにはなりますが、出力側はすでに記事にしているので
今回は入力側のみを解説していきます。
出力側の記事に加えて重要なのはこの2点です。
入出力設定レジスタ(0x00または0x01)
出力の点数を増やす記事でも軽く触れましたが、このレジスタをいじることにより、
GPAまたはGPBの各ピンを入力ピンなのか出力ピンなのか設定することが可能です。
具体的にはデータシートより、このような仕様になっています。
このような仕様となっているため、
例えばGPA0を入力にして、他のGPxを出力とする場合は、
0b0000001となり、0x01を書き込みます。
ほかにも、一度にすべてのGPAピンの入出力の設定ができますから、
例えばGPA7とGPA3を入力、他を出力としたい場合は、
0b10001000となり、0x88を書き込むことになります。
ここまでの話は入出力レジスタのGPAの話ですが、
GPBの入出力設定を変更したい場合は、
レジスタアドレスは00ではなく、01なのに注意してください。
今回はGPAの入出力設定しますが、GPBも使う場合にはそこも追加すると覚えておいてください。
プルアップレジスタ(0x06)
センサーをつけるときにちょっと迷うのがプルアップ抵抗ですね。
センサー単体でRaspberryPiに直接つなぐと反応しないな…なんて経験ありませんか?
それは単純にプルアップ抵抗がなく、センサーからの情報が正しく届いていないためです。
よくプルアップ抵抗を本物の抵抗で回路上につなげる場合もありますが、
このmcp23017は弱プルアップをIC上でやってくれます。
もちろん設定はしないといけないのですが、その設定がこれです。
今回はプルアップ抵抗付きのセンサーを使ってしまったので使っていませんが、
プルアップ抵抗の必要なセンサーの場合は、セラミック抵抗など使うよりも
断然楽ですので、こちらも覚えておいたほうが良いです。
具体的には入出力の設定のようにアドレスを指定してプルアップしたいピン番号を1にするだけです。
【本題】MCP23017でIO入力を増やす
データシートの情報など予備知識はここまでで紹介し終わったので、
ここからは本題です。
配線方法とpythonのコードを書いていきます。
実際にRaspberryPiとMCP23017を配線する
今回使用したのは、こちらのような物体が遮ると反応するセンサーです。
フォトインタラプタと呼ばれるものですね。
上で軽く触れていますが、このセンサーはプルアップ抵抗がすでに基板内に
入っているのでプルアップ抵抗は入れる必要がありません。便利ですね。
よく使われる場所としては、直動ステージの端まで行ったかどうかの検知なんかに使います。
直動ステージの原点復帰に使うといえばもう少しイメージがわきますかね…
具体的にこのセンサーとmcp23017をraspberryPiに接続してみましょう。
接続するとこんな感じです。
ちょっと形状が異なりますが、役割は同じで3つ線が出ているのは同じなので、
基本はこの通りでだいじょうぶです。
左から、OUT(信号線)、GND、VCCの順です。
RaspberryPi側でMCP23017の接続アドレスを確認する
出力側を増やす時に解説したのでおさらいですが、
mcp23017をRaspberryPiにつなげるときに使用するのがI2C通信です。
そのI2C通信には接続ごとにアドレスが決まっています。(変えることも可能)
上で紹介した配線通りであれば、アドレスは0x20となっているはずです。
I2Cのアドレス周りの話はこちらの記事でも詳しく書いていますので、
ちょっとアドレスってなんだっけ?という場合はもう一度復習も込めて
この記事↓↓↓をオススメします。
RaspberryPiでPythonを使って入力を監視する
それでは最後にpythonを使ってセンサーの読み取りをしてみましょう。
import smbus
import time
CHANNEL = 1 # i2c割り当てチャンネル 1 or 0
I2CADDR = 0x20 # スレーブ側ICアドレス
REG_IODIR = 0x00 # 入出力設定レジスタ
REG_GPIOA = 0x12 # 入出力レジスタ
bus = smbus.SMBus(CHANNEL)
# ピンの入出力設定
# 今回は入力が見たいので01
bus.write_byte_data(I2CADDR, REG_IODIR, 0x01)
def loop():
while True:
# GPA0の状態を読む。
print(bus.read_byte_data(I2CADDR,REG_GPIOA))
time.sleep(1)
def destroy():
print('end')
if __name__ == '__main__': # Program starting from here
print ('Program is starting...' )
try:
loop()
except KeyboardInterrupt:
destroy()
出力の時と異なるところは、
bus.write_byte_data(I2CADDR, REG_IODIR, 0x01)
これは入出力の方向を決めるレジスタでしたね。
今回はGPAの0番ピンだけを入力としたいので、0x00レジスタに0x01を書いています。
余談ですが、GPBの0番ピンだけ入力したい場合は、
0x00レジスタではなく、0x01レジスタに0x01を書き込まないといけないので注意です。
そこらへんの内容はデータシートにレジスタの表があるので参照してみてください。
次に違うところがこちら。
bus.read_byte_data(I2CADDR,REG_GPIOA)
busのなかのread_byte_dataという関数を使用します。
出力の時はwrite_byte_dataを使用しましたが、
今回はセンサーの状態を取得したいのでreadを使用します。
readをしただけでは何もわからないので、
必ずprint関数を使って状態をコンソールに表示させてあげてください。
フォトインタラプタを遮ると1と返ってくるはずです。
まとめ
今回はmcp23017を使って入力側の制御点数を増やす方法についてご紹介しました。
データシートがしっかり読めればなんてことはないのですが、
電気的な知識がない場合はなかなか苦戦しますよね….
まずはこの記事をしっかりと理解できれば、自分でデータシートを見て
ICのレジスタの内容がなんとなくわかると思います。
次回はmcp23017の入出力をどちらも使用した仕上げ記事を作成予定です。
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